凍った路面や雪道でも安定したグリップを発揮するスタッドレスタイヤ。
もちろ普段のドライ路面やウエット路面でも走行することもできますので、万能なタイヤのように見えるかもしれません。
中には「スタッドレスタイヤを1年中履き続けても良いのでは?」と思う人も多いのではないでしょうか。
一部の人には、新品で購入したスタッドレスタイヤをそのまま履き続けている人もいるようです。
確かにスタッドレスに交換するのにはお金がかかりますし、面倒であるのも間違いありません。
しかし、スタッドレスタイヤをそのまま履き続けるのは、メリットだけではなくデメリットもいくつか存在します。
そこで今回は、スタッドレスタイヤを一年間履き続けても良いのかについて解説していきます。
目次
スタッドレスタイヤの寿命について
まずスタッドレスタイヤには、タイヤとしての寿命と、スタッドレスタイヤとしての寿命の2つがあります。
スタッドレスタイヤは非常に柔らかいゴムや、エッジの効いたブロック形状があるおかげで、雪や氷の上でもグリップが得られます。
当然ながら、その部分が減ってしまうとスタッドレスタイヤとしての機能を失い、寿命を迎えることになります。
しかし、スタッドレスタイヤとしての機能が無くなってしまっても、通常のサマータイヤとしては使い続けることができるため、タイヤ自体の寿命は迎えていないとも考えられます。
そしてその状態で乗り続け、いずれサマータイヤとしての機能まで無くなると、いよいよタイヤとしての寿命を迎えます。
そしてこれらは、次のマークで判断することができます。
- プラットフォーム・・・スタッドレスタイヤとしての寿命
- スリップサイン・・・タイヤ自体の寿命
プラットフォームは、新品の状態から50%摩耗が進むと発生するようになっており、スリップサインは溝の高さが1.6mmに到達すると現れます。
ちなみにサマータイヤのスリップサインも溝の高さが1.6mmのところにあります。この高さは、タイヤの使用限界として法律で定められています。
これより摩耗が進んだタイヤで走行することは、法律を破ることになってしまうのはもちろん、減ったタイヤはグリップ力が著しく低下しており大変危険ですので、絶対に使用しないようにしましょう。
スタッドレスタイヤを履き続けるデメリット
先ほど説明した通り、スリップサインが見えるまでスタッドレスタイヤを履き続けることは可能です。
そのため、来シーズンで新たにタイヤを買い換えようとしている人や、車自体に乗る頻度が少ないという人にとってはメリットも大きいでしょう。
しかし、それ以上にデメリットもたくさんあります。
- ブレーキ性能が低下する
- ハンドリングが低下する
- 燃費性能が低下する
- ハイドロプレーニング現象が起こりやすくなる
1.ブレーキ性能が低下する
スタッドレスタイヤはサマータイヤと比べて柔らかく、タイヤに圧力がかかった時の踏ん張りが劣ります。
雪や氷の路面をしっかり捉えるために設けられた細かな溝は、ブレーキで大きな圧力を受けると大きく変形し、乾いた路面だと踏ん張ることができずに制動距離が伸びてしまいます。
2.ハンドリングが低下する
スタッドレスタイヤは、気温が低下しても安定してグリップさせられるように、あらかじめ柔らかいゴムが使用されています。
しかし、全体が柔らかいタイヤは、ハンドルを切った際の変形量が大きく、車体がフラつく原因となります。
また、柔らかいコンパウンドのタイヤは、転がり抵抗が大きくなりますので、乾燥路を走行するとゴロゴロと音がすることもあります。
3.燃費性能が悪くなる
当然ながら転がり抵抗が大きいと、その分燃費にも悪影響を与えてしまいます。
また、スタッドレスタイヤは剛性を高めるために中のベルトの量が多く、表面のトレッドを分厚く設計しているため、その分重くなります。
重さも燃費性能を悪くしてしまう原因の一つと言えるでしょう。
4.ハイドロプレーニング現象が起こりやすくなる
サマータイヤは排水性向上のために、センター部分に何本かの大きな溝が切られています。
一方スタッドレスタイヤは、雪道でもグリップするように細かな溝が均等に配置されています。
一見するとたくさんの溝がある方が排水性が高いようにも思いますが、細い溝だと水溜りを走行した際の排出量に限界があります。
そのため、雨量が多い道路を走行すると、サマータイヤと比べ、ハイドロプレーニング現象が起こりやすいのです。
まとめ
スタッドレスタイヤとしての寿命を迎えても、サマータイヤとして履き続けることもできるスタッドレスタイヤ。
しかし、今回ご紹介したように、メリットよりもデメリットの方が多いような気します。
- ブレーキ性能が低下する
- ハンドリングが低下する
- 燃費性能が低下する
- ハイドロプレーニング現象が起こりやすくなる
これらのデメリットを容認しながら履き続けるのは、安全上のリスクも伴います。
そのため、暖かくなってきたら早めに交換することをおすすめします。